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「サムライ精神を復活せよ」の書評

月間日本」(http://gekkan-nippon.com/)の書評「編集部が進める1冊」に編集長の坪内隆彦さんが記事を書いてくれました。

また、メルマガ「軍事情報」(https://www.mag2.com/m/0000049253.html)を主宰しているエンリケさんが、以下のような書評を書いてくれました。

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こんにちは、エンリケです。
「命もいらず名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るもの也。此の仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり」
西郷南洲が山岡鉄舟を評したとされるこのことばが、本著を読んだあと、全身を包みました。
本気の覚悟からにじみ出る迫力に圧倒され、胸を打つ言葉が身体中にしみわたってゆく読後感は、ごまかしを含まぬホンモノの著者でないと味わえない至上の愉悦です。
世界の人々は日本を求めています。砂漠で遭難した人が水を求めるように日本の再登場を待ち望んでいます。
しかし、そのことに最も気付いていないのが日本人です。
この巨大な矛盾の背後にあるのは、明治以降今に至るも継続して行われている「欧米啓蒙教育」による日本人の非日本化です。
わが古いこと・もの・できごとはすべて悪いと洗脳され、日本の真の価値、日本の真のすばらしさを世界でもっとも知らなくなったのがいまの日本人です。
何と皮肉なことでしょうか・・・
「日本を取り戻す」
安倍総理が政権奪還時に掲げた幟です。
このとき「どんな日本を取り戻すのか?」という極めて重要なポイントを指摘していたのは、私の知る限り、日下公人先生しかいませんでした。
個人的な思いですが、この本は、その問いに建設的に取り組むことのできる貴重な書と感じます。
明治以降わが国は一貫して「欧米啓蒙教育」の下、祖国日本の価値観を軽視する風潮に包まれてきました。
日本神話や日本の古典、過去の国史から学ぶ、と言おうものなら
古い
役に立たない
不合理
軍国主義
怖い
キモい
時代錯誤
などなど、「問答無用」で切り捨て、「無言の圧力」を加えるのが、いまのわが国の風潮です。
海外にいればこの異常さはすぐわかるのですが、国内にいると、全く見えない。
支那がどう、朝鮮がどう、アメリカがどうといろいろいわれますが、けっきょく、日本人からどんどん削られているのは、一貫して「目に見えない日本の大切な価値観」なのです。
その人の中に「日本」が少ないほど日本人として優秀、と評価される風潮があるんですね。
「日本」が単なる記号になってしまうと、「日本」は、生命感・躍動感あふれるイキイキした価値観そのものではなくなります。
そんな日本になったら、軍事も防衛も安保も政治もクソもありません。
すでにその風潮は、スポーツの世界や文芸の世界に顕れています。
今わが国が、文明レベルで滅亡に向かうギリギリの瀬戸際状態にあることは間違いないと思います。
そんななか出たのがこの本です。
日本とは何か?
日本人とは何か?
日本社会とは何なのか?
日本の武とは何か?
日本人の価値観とはどういうものか?
大和魂とは何か?
大和心とは何か?
日本人は何を大切にしてきたのか?
という「日本文明の核」に関する問いに答える書です。
日本を取り戻すよすがになる書です。

共同体・武道というキーワードを通じて、イデオロギーとは無縁の場所で、「「日本」とは何か?」が、「感覚的・理論的・徹底的」に解説されており、類書とは隔絶したレベルに立っています。
「日本」にイデオロギーは似合わない。
ことを、この本ほど感じさせてくれるものはありません。
わが国を代表する「「日本」を知る書」と言って差し支えありません。
個人的に興味を惹かれたのは、
80~83ページに書かれているCERNでの話です。
世界最先端の素粒子物理学理論が明らかにしつつある宇宙創造の原理と、わが神話が描いている内容の不思議な関係が記されています。
また、<プレーヤーはルールメーカーにかないません>(P219)
<武道もグローバル化した途端に日本文化としての性質を失いました>(P219)
といったことばで解説される
「グローバリズム」に関し、他では例を見ないホンネが語られています。見逃せません。
「勝者によるルール作りで世界が管理されることがなにを意味するのか?」も・・・
「自由」をめぐる記述も実に新鮮です。
「目からうろこ」になる人が続出するはずです。

では、この稀有な「「日本」を知る書」の内容を見ていきましょう。
□目次
はじめに 1
第一章 学び─自分の成長を実感する 10
身体を使って学ぶ 10
すべてが一体となって成長する 17
心が通じれば戦意は鎮まる 27
内省と感性を磨く 30
武道における学び 40
鹿島心流の「五か条の法定」49
少数の者だけが利益を得る社会 56
個人主義はなぜ生まれたのか 66
自然に順応した生物が進化する 69
集団的な学びの実践 74
第二章 中心と循環─産霊の思想 79
宇宙の生成と日本の神話 79
産霊(むすひ)の思想 86
神々と一体になる 91
和する心を取り戻す 97
神道の死生観 102
身体の中心「丹田」と精神の中心「肚」107
公共のために使う武力 113
時を超えて生きる 118
第三章 強さと道義、そして礼 124
武人の強さとは何か 124
和する強さ、助け合う強さ 128
武の神が示した精神 136
神々の共存する社会 141
礼を重んずる日本武道 146
歴史にみる日本の礼 150
変質する日本人 158
いま日本人ができること 163
第四章 伝統精神を継承する 171
自由とは何か 171
日本人が築いた自由 182
和する「自由」を再び 195
伝統精神の継承と新たな創造 201
伝統を見失った現代人 206
人類の伝統を統合することこそ真の平和 209
第五章 和する社会を取り戻す 215
自由競争原理に蝕まれた社会 215
共生文化と共助社会 221
日本建国の理念と継承 236
稲作と共生共助文化 246
調和と均衡 249
武道における利他的精神 256
和する社会の再構築 265
和の共助体を作ろう 270
おわりに 274

おわりに(一部)
< 私が「武士道」から学んだことの一つは、己の死をリスクと考えず、受容することでかなりの自由が得られるということです。
自らのことは自らの責任で主体性を持って対応する気概と知恵を身につけるということです。
さらに主体的価値観と規範の確立を「武士道」から学びました。
戦後の啓蒙教育の義務化により、子供たちは外なる価値観に服従するように教育されて育ちます。そして、携帯電話、スマートフォン、ロボット、AIなど次から次に新しい情報機器が開発された結果、現代人は情報過多にさらされ、主体的な価値基準を身につける余裕すらありません。結果的に、その情報がフェイク(うそ)だとしても、情報を管理する側の言い分が通り、特定の人が社会秩序を形成できる専制支配が可能となります。
戦後の日本は、対外政策は米国の言いなりで、自国の憲法すら自分で決めることを放棄し、与えられたルールの中でうまく立ち回るプレーヤーとして自己規定しているように見ます。しかし、所詮プレーヤーは、ルール・メーカーの手のひらで踊るだけです。
市場の自由競争を、単なる経済活動の一つとして、経済政策だけで勝負したところで勝ち目はありません。自由競争とは、軍事力も含むあらゆる力を自由に行使してルール(法秩序)を作った者が勝つ仕組みなのです。
良い悪いではなく、「武」を持たない政治・経済に秩序の構築は不可能です。
ここでいう「武」とは、自らの思考と行為に関して主体的に規範を確立する気概と実力のことです。「武士道」が、武士という社会階層がなくなっても存続し得るのは、その精神が従属的ではなく主体的だからです。
社会的に与えられた地位に関係なく、自ら価値・規範を確立し、それを実践するところに「武士道」の最も大事な教えがあるのです。
とはいっても、自らの人生を全うする価値・規範を主体的に確立し実行するには勇気が必要です。武士道精神とはそういうものです。>

いかがでしょうか?
明治以降の欧米啓蒙教育のためか、明治以降の教育を受けた人から、わが国発の世界的な言葉が生まれていません。
日本的価値観は欧米より劣っており、愚かだから、と無言のうちに、無意識で思い込まされているからです。
世界史しかり、文学しかり
問題は、大東亜戦争以降云々で済む話じゃない気がします。
なぜ世界各地からわが国に人が集まってくるのか?
その理由を日本人だけが知らない、わからない。
そんな日本人から卒業したい人は、必読でしょう。
世界が再登場を求めているわが国が、ふたたび油断して、亡国の淵を迎えぬためにも、いま必要なのは、サムライ精神という名の「日本古来の価値観」を日本人が取り戻すことだと思います。
そのための格好の書がこれです。

追伸
荒谷さんは、南紀熊野に移られました。
理由はこの書に描かれています。
荒谷さんが、お仲間とともにこれから進む道は、真の日本を取り戻す「信念の道」です。
心から応援しています。
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お二人とも、身に余る評価、ありがとうございます。